イシワタ(聞き手)
吉田さんの声かけで、「山陰アートミーティング(仮)」が生まれて本当に心強く思ってます。
吉田
個別に活動していると孤独だし、限界を感じますよね。こんな活動している人たちが、あそことあそこにいて・・・と見える化すれば、抱えている問題を共有したり、自分を相対化できる。「城崎国際アートセンター(以下、KIAC)」と「山山アートセンター(以下、山山)」が明らかに違うのは、山山は、個人の問題意識や違和感から湧いてきた欲求から出発している点。KIACが外国人メジャリーガーを連れてくるのに対して山山は草野球とか少年野球で育成からやる、みたいな違いというか。
イシワタ
育成といっていいのかはわからないけど、いろんな人とお互いに育ちたい、みたいなところはあります。それぞれがもっと自然に生きる方法を関係性の中でいっしょに探っていく、というか。
吉田
イシワタさんと周囲の関係性自体が山山なのだと思います。一言で整理できないですよ。イシワタさんの家が永遠に片付かないのと同じで(僕の家もだけど)、人の生活に整合性ってつけられない。収拾つかないことこそ生活。山山は常に現在進行形、on goingであり続けるんじゃないかと思います。
イシワタ
私を含め、みんなもがきながら自分の人生を生きていて、もがく者同士が複雑に関わり合いながらいろんなことが起こり続けてる。それを普遍化したいんです。
吉田
ちょっと演劇っぽいですね。自分と何かの関係性を外部化して、他の人にもアクセス可能にしたいということかな。関係性を変えるというのも芸術にできることかもしれないですね。違うものを繋いでみる、接続の仕方を変えることで、状況を変える力になるのかも。それが、山山の一番面白いことですね。
イシワタ
「山山」は名前にわざと地名を入れていなくて、世界中の山の見える場所とネットワークを作りたいっていうのがあるんです。 とはいえ地域生活の中でもっと具体的な「何か」を共有する必要があると思っていて、そこで・・・春からひょうたん畑を作ろうという計画がございまして・・・。
丸山
吉田さん、ひょうたん触ったことありますか?・・・横から失礼、カメラマンの丸山です。
吉田
ないです(笑)
丸山
僕もイシワタさんと一緒に、三岳地区最後のひょうたん農家のおばあちゃんのとこに行ったのですが、最初はなんというかその・・・ひょうたんって、みうらじゅんが提唱する「いやげもの」みたいな、誰も欲しくない、もらって困るような印象を持っていたんです。でも、一つ手渡されて、おばあちゃんの話を聴きながらずっといじっていると、だんだんすごいかわいいものに思えてきて…。 染みとかひやっとしない感触とか、一時間持ってると、愛しちゃうんです。
イシワタ
ひょうたんの面白いところはまさにこの温度差なんですよね。魅力にとりつかれた人とそうでない人の間を隔てる劇的な温度差!あと、食べられないし実用性がないのに世界中で昔から育てられてきたところ!食器や楽器の起源といわれているので元々は実用性があったわけですが。
丸山
愛しちゃって人に勧めたくなる魔力があるんだよな。
イシワタ
魔性のひょうたん。
吉田
芸術にとても似ていますね。
イシワタ
そうなんです!!まさに山山向きの代物!!・・・ということで、地域のおじいちゃんおばあちゃんに御指南いただきながらひょうたん畑に挑戦するつもり。
吉田
今、ふたつを触り比べたら俺こっちのひょうたんのほうが好みだわーって思いました。さっきまでちょっとお二人と距離があったんですが、これを触ったらわかった(笑)
イシワタ
そうでしょうそうでしょう・・・
丸山
人間のクリエイティビティに働きかける何かがありますよね。
1979年、兵庫県生まれ。兵庫県豊岡市在住。トーキョーワンダーサイト、フェスティバル /トーキョーなどにて、コーディネーターとして勤務したのち、2015年より現職。演劇カンパニー・マレビトの会のプロジェクト・メンバー。母方の家系が、なんとびっくりこの日撮影で訪れた金光寺の檀家。昔法事で訪れた際に滑って転んで以来、この日がまさかの再訪。
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